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目次
1、ドリブルに「後ろ」が必要な理由
2、「後ろ」とは減速。減速は緩急を生み出す
3、「後ろ」は失敗を成功に変えてしまう
4、「後ろ」でボールが吸い付く
目的
「後ろ」が必要な理由と、その魅力を知る
理由
特別なドリブルを手に入れるためには「後ろ」が絶対に必要だから
最終更新:2015-01-22 公開:2015-01-22
前回までで、ドリブルについての説明等は終わったと思うかもしれません。
実は、まだ終わっていません。
今までは準備運動で、これからが本番です。
90度が出来るようになってから、挑戦してください。
90度よりも難易度は高いですが、90度を覚えたあなたなら大丈夫です。
他のことよりも難しいぶん、習得すれば今までのドリブルとは全く違うドリブルになります。
ここが普通のドリブルになるか、特別なドリブルになるかの分かれ道です。
ドリブルについて、最初の方で考えたことを思い出してみましょう。
「動く方向」には前、後ろ、右、左と、大きく分けて4つあると言いましたね。
今までやってきたのは、前、右、左。
まだやっていないのは、後ろですね。
そうです。ドリブルを完成させるためには、「後ろ」への移動を覚える必要があります。
後ろに動くことが出来なくても、ドリブルに影響がないと考える人もいると思います。
ドリブルで「後ろ」を使う場面を想像するのは難しいですからね。
そこで、車を使って「後ろ」に進むことの大切さを説明します。
車もドリブルも、前、右、左に動くことが出来れば全く問題がないように思えます。
では、次の場面はどうでしょうか。
この場合、後ろに戻る必要があります。
「後ろ」に戻らずにもう一周し、二回目で目的地にしっかり止まるという方法もあります。
この方法は車なら問題ありませんが、サッカーの場合は難しいでしょう。
サッカーの場合、もう一周して再び目的地に着くころには、相手に囲まれていることが多いです。
サッカーでは車のようにもう一周する方法が使えないため、別のやり方を選ぶ必要があります。
車なら前、右、左に移動するだけで何とか出来ても、サッカーでは難しい。
そこで、「後ろ」が必要になってきます。
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せっかく前に出したボールを、後ろに戻すのはもったいない気もしますね。
実は、「後ろ」というのは「後ろに戻るため」にあるのではなく、前進を調整し「前」をより輝かせるためにあるものなのです。
下の図を見てください。
10の力が前に進むように加わっています。(1)
このボールに、後ろ向きに10の力を加えると、前後の力が同じになり、ボールが止まります(2)。
ボールに後ろ向きの力を加えた場合、次のようになります。
ドリブルでは、前に進む速さを遅くすることが大事。
「前に進む速さを遅くする」とは、「減速(ブレーキ)」のこと。
この「減速(ブレーキ)」を手に入れることが、「後ろ」を覚える最大の理由です。
なぜ前、右、左だけではいけないのか。
その答えは、「後ろ(減速、またはブレーキ)」がないドリブルは危険だから。
ドリブルで一番大切なのは、「減速(ブレーキ)」です。
最初の方で、ドリブルが上達するために必要なものは何かと質問しましたよね。
その答えは「減速(ブレーキ)」であると言えます。
凄いドリブルをする選手を観察してみると、しっかりと「減速(ブレーキ)」が出来ていることが分かります。
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では、「減速(ブレーキ)」が使えないと、どうなるのか。
車や自転車で考えてみると分かります。
前に進んでいるとしましょう。
前に進んでいると、急に目の前に大きな物が落ちてきた。
もし、車が減速出来なかったら。
減速出来ないと、そのままぶつかります。
減速出来れば、大きな物にぶつかる前に止まることが出来るでしょう。
サッカーでも、同じことが起こります。
ボールを持って前に進んでいたら、急に相手選手がボールに向かってきた。
今の速さでボールを動かしつづければ、相手が先にボールに触ってしまう。
もし、減速出来たなら、自分が先にボールを触ることが出来る。
減速出来なかったら、そのまま相手選手にボールを奪われてしまいます。
このような場面は、試合中によく起こります。
一人目を抜いた後に、後ろにいた二人目の選手にボールを奪われる場面や、味方からのパスに走り込んだFWと相手ゴールキーパーとの1対1の勝負、走りながら貰ったパスが強かった場合や少し前にずれた場合等、意外と多いものです。
もし、減速を覚えていれば、全く違った結果になっていたでしょう。
試合を見るとき、ボールが選手から離れた場面に注目してください。
自分から離れたボールを減速させて、自分のものに出来る選手は素晴らしい能力を持っています。
ドリブルでは緩急が大事だと聞いたことがあるかもしれません。
ドリブルで緩急といった場合は、速いドリブルと遅いドリブルの組み合わせでしょうね。
速いドリブルは、ボールを思いっきり蹴ればいいので問題ありません。
問題は、思いっきり前に飛んでいくボールをどうするか。
加速だけで緩急をつけるのは難しいです。
ドリブルに緩急をつけたいときは、減速に注目するといいでしょう。
ブラジル代表のパスは、意外と失敗しています。
パスが失敗しても、貰う側の能力で成功にしてしまうのが凄い。
ちょっと前に出しすぎたというパスでも、貰う側がボールを自分に引き寄せて(下の図3)成功に変えてしまう。
失敗を成功にするというのも、「後ろ」の魅力的な能力の一つです。
「後ろ」を覚えたら、自分が自由にボールを扱える速さまで調整出来たり、ドリブルやトラップで前に蹴りすぎたときのような、「自分が考える動作とは違った状態」になった場合でも修正がしやすくなります。
修正が出来るとは、失敗が減り成功が増えるということです。(成功になる範囲が広がる)
味方からのちょっと失敗したパスでも、「後ろ」を使うことで成功に変えることも出来ます。
「後ろ」は自分の失敗だけでなく、味方の失敗も減らすことが可能です。
吸い付くドリブルを目指している人は、「後ろ」を覚えるといいでしょう。
「後ろ」を覚えると、ボールが吸い付くようになります。
上の方で書いた、「失敗を成功に変える」というのも、ボールが身体に吸い付くから出来ることです。
ボールが吸い付くドリブルは、「後ろ」から生まれます。
ボールが吸い付くようなドリブルをする選手は、ボールを減速させているはずです。
偉大な選手のドリブルを見るときは、減速をいつ使っているか観察するのも楽しいでしょう。
直線的なドリブルをする選手でも、意外と減速を使っていたりするので面白い。
減速を使えるから、自信を持ってドリブルで勝負出来るのでしょうね。
「後ろ」、おすすめです。
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2015年1月22日公開。初期組
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